乳歯に特徴的なう蝕

乳歯に特徴的なう蝕

う蝕には、乳幼児期の乳歯に特徴的なものがある。

【哺乳瓶う蝕】
乳幼児の水分補給のために、清涼飲料水やスポーツドリンクを哺乳瓶に入れて飲ませることが習慣化した場合、上顎の乳前歯の唇側面が急速にう蝕となる。こうした飲料は低pHや多量の糖質を含んでいるためである。重症化した場合、唇側だけでなく全歯面がう蝕となる。このように哺乳瓶の使用によって発生するう蝕を哺乳瓶う蝕と呼ぶ。予防方法としては、哺乳瓶の使用中止、哺乳瓶の中身を変える、口腔ケアである。「熱」を出した場合などに水分補給が必要となり、また小児科医などから勧められるなどしたものが、そのまま習慣化してしまい哺乳瓶う蝕となる場合も少なくない。

【母乳う蝕】

古くから母乳はう蝕を発生させると信じられてきた。たしかに、母乳で育った子どもにはう蝕が多いという統計もあり、母乳には7%の乳糖が含まれている。しかし、これが積極的にう蝕を誘発することはない(実験室的にはう蝕が発生するが、臨床的にはほぼ無いとされる)。この母乳で育った子供にう蝕が多い理由としては、母乳というある程度好きな時間に与えることのできるものを、子供の要求するがままに与えるために、離乳期以降の不規則な食生活へと誘導し、う蝕を誘発しているとされる。

【環状う蝕】

乳前歯部の歯冠や歯頸部が帯状に侵食されるう蝕を環状う蝕という。上記二つとは別の理由で発生するために区別される。口腔ケアの不徹底などが原因となる。


■予防
2003年の世界保健機関の報告にあるように口腔清掃は齲蝕を予防するという証拠がなく、関連性が高いのは飲食である[12]。口腔清掃は、歯が酸に侵食される際の酸性度を弱めたり侵食時間を短縮させるのであり[13]、口腔内をなるべく酸性に傾けない飲食というのが事実に即した予防となる。自分でできる口腔清掃のパーソナルケアとして、主に1日最低2回のブラッシングと最低1回のデンタルフロスなどによる歯間清掃がある。歯科で行うプロフェッショナルケアとして、数ヶ月ごとの定期的な歯科検診やPMTC(専門的機械的歯面清掃)がある。リスクの高い部位には年に1回X線写真を撮るのも良い。

歯垢は細菌が集まって膜を形成したバイオフィルムだとも捉えられている。歯垢が熟成して細菌が密集した状態は、歯の表面に強固にくっつき殺菌剤も効きにくい。こうしたバイオフィルムの破壊にはPMTCが有効である。PMTCによってバイオフィルムを破壊した状態に対して、さらに3DSによって専門的に殺菌することができる。

【ブラッシング】
う蝕の予防はブラッシングを基本とする。歯垢を取り除くことで、う蝕原因菌を少なくし、酸が作られることを防ぐ。2日以上経過した歯垢は、砂糖液により酸を作り出す時間が長くなる[14]。歯垢が固まり歯石となった場合はブラッシングではとれないため、歯科で除去してもらうことになる。ブラッシングは歯ブラシを基本とするが、歯と歯の間を磨くためにデンタルフロスや歯間ブラシ、爪楊枝を利用することができる。歯間などのすき間を水で洗い流す口腔洗浄器も用いられる。

フッ化物や、殺菌効果のあるクロルヘキシジンなどが配合された歯磨き剤や洗口剤も有効である[15]。ただし、口腔内の細菌はバランスを取って存在し、他の菌が入ることを防いでいるため、抗菌剤などの利用は口腔常在菌に悪影響を与え菌交代現象などを引き起こす場合がある。

東芝など大手企業の健康保険組合が職場に歯磨きセットを無料配布し、昼休み時にブラッシングを励行させることにより年間の医療費負担の低減に効果を挙げているなど、昼食後のブラッシングはう蝕予防に非常に有効的である。


『ウィキペディア(Wikipedia)』参照